技術
画にならないカメラ(健康便座)の紹介をします。これは”大便色検知装置”として特許第5861977号にて登録されています。
図に示すように便座と便器の間に、光源とリニアイメージセンサで構成された便座カメラを複数台設置し、大便表面の色を全周にわたって観察します。
トイレに座ると便器内は暗くなりますので、便の照明光として発光波長の異なるLEDを順次点灯することで、簡便に便表面のスペクトル解析をすることが出来て、便表面にある潜血部を早期に見つけようという試みです。
現在、日本人の3人に1人は癌で亡くなり、部位別で大腸癌は男性の3位、女性の1位になり、年間5.1万人(交通事故死亡者数の14倍!)も亡くなり、医療費も5500億円も掛かっています。
5年生存率はStageⅠ→Ⅱ→Ⅲ→Ⅳで、99→91→82→18%と早期発見が非常に重要です。現状の便潜血検査では苦労して乾燥状態でサンプリングし、便表面を擦って採取しても、便裏面に潜血部があったら分からないために、初期癌の見落とし率が高く問題になっています。
こうした現状を打破するために、日常的に全周の便の色を観察することで、大腸癌の早期発見に少しでも役に立てれば(医療費削減)と試作カメラでの検証を行っています。
画素が1列にしか並んでいないリニアイメージセンサでは便器上部の1ラインしか撮像しないので、お尻は”画になりません”。取れる情報は、このラインを通過する移動物体である大便からの、各波長のLED照明時の反射強度に対応したセンサ出力です。これは数値データで、波長の反射強度比でハンドリングし、画像データはハンドリングせず抵抗感をなくします。
また現状の便潜血検査では、採取したキットを室温に保管すると、腸内細菌が血液を分解してしまい、検知精度が夏場は悪くなるという情報がTVで放映されていました(それ以来健康診断で採取したキットは冷蔵庫に保管!)。落下後の液体内でなく、出たてのホヤホヤを、全周方向からデータ取得できることも本方式のメリットと考えています。