技術
”見えるカメラ”とは、(昼も夜も綺麗に)見えるカメラ(イメージセンサ)”のことで、未だ物は有りません。現在のカラーカメラでは人間の視感度に合わせるために赤外カットフィルターを挿入しますが、夜間では赤外光が主体になる為、これが邪魔になります。即ち夜盲症(鳥目)になります。また赤外カットフィルターを外すと夜間の感度は上がりますが色味(色再現性)が悪くなります。このように夜間の感度と色再現性は、表に示したようにトレードオフ関係にあります。
見えるカメラ(イメージセンサ)は赤外カットフィルターがなくても色再現性が良く、昼でも夜でも綺麗に見えるカメラになります。”見えるカメラ”とは”鳥目対策の目”で、この目(イメージセンサ)を用い”鳥の目”を構成しますと、”鳥目対策の鳥の目”となり、少々ややこしいネーミングの関係になります。夜間や昼間の徘徊者や逃走犯の追跡に活用できます。
見えるカメラはイメージセンサに特徴が有ります。そのイメージセンサの構造としては現在主流になってきている裏面照射型イメージセンサ(BSI)構造で、上図に示したように入射光を光電変換するフォトダイオード(PD)を、可視光用PD(PD1)と、赤外光用PD(PD2)として同一画素位置に上下に積層した構造です。
裏面から入射光が入る構造を利用して、PD間の電荷転送(パンチスルー転送)を制御する転送ゲートを入射側とは逆側の配線側に設置します(BSI構造が故に設置できます)。これにより、配線側のPD2で発生した赤外光信号成分の電荷読み出し直後に、入射光側のPD1で発生した可視光信号成分の電荷を、パンチスルー転送で配線側のPD2へ転送し同じ出力回路で読み出すことで、赤外光成分⇒可視光成分の順に読み出しが行われます。両者の差分から可視光の信号が取得できることをシミュレーションで確認しました。
これは昼でも夜でも綺麗に見えるカメラになり、高齢者の徘徊や犯罪者の追跡(検挙率アップ)に役立ちます。
本知財は、国内登録に引き続き、神奈川県の”中小企業知的財産活動支援事業費補助金”を活用し、'18.6.26に米国で登録(US10008521)されました。
蛇足ですが、
米国登録特許の9,999,999番目は2018.6.19に発行予定で、10,000,000番目が誰の手に落ちるかで盛り上がっていたようです!
http://tokkyokyougaku.blog.fc2.com/blog-entry-313.html
登録日が2018.6.26でしたので丁度1週間違いでしたが、僅か1週間で8500件も登録された!(10,000,000番目を狙った申請が多かった?)。因みに1,000,000番目は1911年8月だったそうで、107年ぶりだったようですが、そこで1週間は非常に惜しい!。アメリカ特許の登録番号にまつわる都市伝説として、「昔から、こういうキリのいい番号は、USPTOが『歴史に残るような良い発明』を割り当てる」そうなので、近場だったとしても無理だったか?
10,000,000以降は登録証のデザインを変えたそうなので、3月のUSP登録証と6月のUSP登録証のデザインが違うのは、こうした背景があったようです!今時点で、新旧のデザインの米国特許を所有しているベンチャーは、かなり珍しいのでは?